お金と保険の相談例

【相談例】 独立・開業

会社を辞め、自営業になりました。これから必要になりそうな保険と、老後資金の備え方についてアドバイスをください。

相談者
男性(30歳)会社員/年収450万円/非喫煙者 → 自営業へ
加入中の保険
・終身保険:10,000円/月
・定期医療保険:2,000円/月
相談したいこと
・今後必要になる保険が知りたい
・収入が不安定になるため、老後の蓄えも徐々に準備したい

公的社会保障が薄くなるぶん、「働けなくなったときの備え」を厚めに

会社を辞めて、自営業になりました。年収は会社員時代と同程度を目指していますが、毎月コンスタントに稼げるとはかぎりません。いろいろ不安になったので、保険も見直したほうがいい気がして相談に来ました。

ファイナンシャルプランナー

独立おめでとうございます!陰ながら応援します。ところで、公的医療保険は国民健康保険に切り替えましたか?

はい、手続きしました。

ファイナンシャルプランナー

会社員時代は、病気で何日も休んだら「傷病手当金」が出ましたが、国民健康保険には原則傷病手当金がありません。つまり、休業中はまるっと収入が途絶えてしまうのです。有給制度などの会社の福利厚生もなくなりますから、そのぶん民間の保険でカバーできるよう考えていきましょう。

なるほど、具体的にはどんな事態に備え、どんな保険を検討すればいいですか?

ファイナンシャルプランナー

病気などで働けなくなったときの生活費をカバーする目的として「就業不能保険」が候補に挙がります。

会社員時代の年収を目標にされているということですので、相談者様の月収は30万円と仮定しましょう。もし、病気で長期にわたって働けなくなった場合、公的医療保障でカバーされるのは月10万円弱ですので、約20万円が不足します。この20万円を就業不能保険でカバーしていきます。

加えて、がんの治療をしながら生活する場合、収入がどうしても減少してしまいます。収入減のケアも考えておきたいところです。

そうすると、毎月の保険料はどのくらいになりそうですか?

ファイナンシャルプランナー

まずは、保険料が月3,000円程度で、働けない期間の給与サポートとして月10万円が給付される就業不能保険をご提案します。

さらに、がんなどに罹患したときの収入ダウンへの備えとして、5大疾病にかかったときに月20万円が給付され、がんと診断されたときにまとまった一時金が出るタイプの就業不能保険も入っておくと、ダブルで安心です。こちらの保険料は、月10,000円程度です。

2つの就業不能保険を組み合わせて、保障を厚くするイメージですね。

ファイナンシャルプランナー

はい。働けなくなる期間の収入ダウンと、がんの治療をしながら生活する場合の収入ダウン、双方をしっかりカバーしていけるようにしています。
また、相談者様はご結婚をされていないので、死亡保障は小さくても問題ありません。そこで、セットの死亡保障の一部をはずし、そのぶん保険料を抑えました。

必要な保障にしぼって、むだなく備えられるのは助かります!

入院日額の設定額、「7,000円」をおすすめする理由とは?

ファイナンシャルプランナー

医療保険の見直しもしていきましょう。ご加入中の保険は、更新のたびに保険料がアップし、保険期間も決まっているタイプです。これは、保険料が加入時から変わらず、保障が一生涯続く終身型への乗り換えをおすすめします。

加入時に、定期型だと保険料が安く、更新時に内容を見直せるメリットがある、と聞いたのですが。

ファイナンシャルプランナー

おっしゃる通り、定期型にもそのようなメリットはありますが、近年、医療保険の定期型と終身型の保険料は、それほど変わらなくなってきているんですよ。また、医療保険はどんどん新しくなっていますので「終身型に加入し、2〜3年ごとに内容を見直す」ことが主流になってきています。

ちなみに、定期型の場合、スムーズに更新するには健康でなければなりません。ずっと健康でいられるのなら、そもそも医療保険は必要ないですよね。こういった矛盾を考えても、定期型の医療保険はおすすめしません。

確かにそうですね。では、終身医療保険にした場合、つけておいたほうがいい保障と、保険料を教えてください。

ファイナンシャルプランナー

まず、入院日額は7,000円をおすすめしています。中途半端に思えるかもしれませんが、大部屋のベッド台5,000円に、食事代やコインランドリー代などの入院滞在費が1日2,000円程度かかると予想し、7,000円にしています。

また、3大疾病への備えや、近年は短期入院や通院のみでの治療も増えていますので、短期入院でも保障される入院一時金や、通院一時金もあると安心でしょう。これらの保障をつけると、保険料は月5,000円程度です。

保険料は、加入中の保険より上がってしまうんですね。

ファイナンシャルプランナー

そうですね。ただし、この先の保険料は上がりませんので、支払い総額は終身保険のほうが安くなることがほとんどですよ。

なるほど、検討してみます!

「老後の備え」はどのくらいあったら安心?

自営業になり退職金がないので、老後のお金のことも気になっています。今のところ結婚の予定もないので、老後、ひとりで暮らしていく場合どれくらいの資金があれば安心か教えてください。

ファイナンシャルプランナー

自営業の方は、公的年金が国民年金のみになりますので、将来もらえる公的年金が会社員時代より減ってしまいます。相談者様の場合、おそらく年間で100万円くらいでしょう。

仮に、老後の生活費を年間250万円とした場合、毎年150万円が足りなくなります。そうすると、平均寿命をベースに考えると老後に必要なお金は2,400万円、という計算になります。

そんなにですか!準備できるか不安です…。

ファイナンシャルプランナー

相談者様はお若いので、準備期間はじゅうぶんあります。そこで、長期にわたって運用することでお金が増える可能性がある、変額保険の活用をご提案します。

変額保険とはどんなものですか?

ファイナンシャルプランナー

保険料の一部を運用し、その運用成績によって将来受け取れる保険金の金額が変わる保険です。運用成績によるのでややリスクはありますが、長期的にみると他の保険より高い金利が期待できるんですよ。

長期的に、ということは、もし途中で支払いが難しくなったらどうなりますか?

ファイナンシャルプランナー

短期で解約すると損をしてしまいますが、最低でも10年間支払えば、その後払済(※)にしても、保険金を受け取るまでの間にお金は少しずつ増えていきます。ですので、10年間は支払い続けられるよう、月10,000円からスタートしてみるのもいいかもしれませんね。

月に10,000円なら、頑張れそうです。

ファイナンシャルプランナー

また、老後になって保険金を受け取るとき、まとまった金額を受け取るのではなく、年金のように毎月いくら、というかたちで受け取ると、税金が少しお得になりますよ。

それはありがたいですね!ちなみに、加入中の終身保険はこのままでいいですか?

ファイナンシャルプランナー

はい、加入期間が短いため、払済にするのは難しいでしょう。解約して変額保険に充てる手もありますが、いくつかの貯蓄型保険を持つことはリスク分散になりますので、このまま継続してもいいと思います。

また、もし余裕があれば、月10,000円でOKですので、個人年金保険への加入も検討してみてください。こちらも保険料控除が受けられるなどの税制優遇がありますよ。

検討したいと思います。

ファイナンシャルプランナー

独立されたばかりなので、しばらくはこのくらいで様子をみつつ、事業が軌道に乗ったら変額保険の保険料を増やしたり、法人化されたら保険の名義を法人名義に切り替えたりしてもいいでしょう。
その時々の状況にあわせ、よりよい保険の活用方法を探っていきましょう。

ありがとうございます。まずは事業が軌道に乗るように頑張ります!

※払済:保険料の支払いをストップし、今まで払っていた保険料に対する解約返戻金を以降の保険期間に充てて保障を継続すること

FPからの提案

加入中の保険 見直し後
終身保険 10,000円 終身保険 10,000円
定期医療保険 2,000円 終身医療保険※1 5,000円
就業不能保険※2 3,000円
就業不能保険※3 10,000円
変額保険※4 10,000円
個人年金保険※5 10,000円
貯蓄型保険総額 10,000円 貯蓄型保険総額 30,000円
掛け捨て保険総額 2,000円 掛け捨て保険総額 18,000円
合計 12,000円 合計 48,000円

※1 定期医療保険を解約し、入院一時金や通院一時金、3大疾病特約などをつけた終身型の保険に乗り換え
※2 給与サポートがメインのタイプに加入
※3 がんなどで働けなくなったときの収入ダウンへの備えとして加入
※4 老後への備えとして加入
※5 余力があれば、老後への備えとして加入

見直しのポイント

  • 自営業・個人事業主は会社員より公的社会保障が薄くなるぶん、「働けなくなった備えよう」を厚めにしよう。
  • 医療保険は終身型がマスト。支払い総額は定期型より安くなることがほとんど。
  • 変額保険や個人年金保険は、上手に活用すると税制面で優遇されることも。

この記事を書いた人

LifeR編集部