あなたに必要なお金と保険

独立・開業したら

これまでに培ってきたスキルで独立したり、自分のショップやスクールを持ったり。好きや得意を仕事にできるのは、とてもかけがえのないことです。一方で、独立・開業すると金銭的に不安定な部分が生じやすいのも事実。自分らしい働き方と安心を両立していくにはどうしたらいいか、じっくり考えていきたいところです。

独立・開業すると、社会保障が薄くなる?

近年、シェアオフィスやコワーキングスペースの増加、リモートワークの定着などから、オフィスを構えなくても独立しやすい環境が整ってきています。実際、総務省の平成29年調査では、事業を自ら起こした人(起業者)の数は477万1,000人、そのうち自営業主の起業者は343万人となっています。
独立・開業などで雇われていない立場になると、会社員より自由度の高い働き方ができる一方で、原則として雇用保険や労災保険の加入対象外となるなど、公的社会保険の保障が少なくなります。

社会保険の種類 会社員 自営業・個人事業主 会社員との違い
公的医療保険 健康保険組合、
全国健康保険協会
(保険料は会社と本人が折半)
国民健康保険
(全額自己負担)
業務外の事由による病気や
けがで休んだときの傷病手当金が受け取れない
公的年金 国民年金
(保険料は会社と本人が折半)
国民年金
(全額自己負担)
厚生年金
(保険料は会社と本人が折半)
・国民年金に上乗せされて給付される老齢厚生年金が受け取れない
・万が一のとき、のこされた家族が受け取れる「遺族厚生年金」が受け取れない
・身体に障害を負ったときに受け取れる「障害厚生年金」が受け取れない
雇用保険 雇用保険
(失業等給付部分の保険料は会社と本人が折半、雇用保険二事業部分は会社が全額負担)
失業しても失業保険(失業手当)が受け取れない
労災保険 労災保険
(会社が全額負担)
業務上の事由で病気やけがをしたときの労災保険が受け取れない

健康保険には、条件を満たせば退職後2年間は会社員時代の健康保険に引き続き加入できる制度がありますが、保険料は全額自己負担となり、傷病手当金や出産手当も支給されません。(傷病手当金の「資格喪失後の継続給付」の条件を満たしている場合、退職後も受給可能)。
労災保険も条件や業務内容によっては特別加入制度が利用できるケースがありますが、年金は国民年金のみに切り替わります。
また、いずれも退職後に自分で変更の手続きをする必要がある点にも注意が必要です。

病気になったら、働けなくなったら…どうやってカバーする?

たとえば病気で何日も仕事を休んだとき、会社員であれば傷病手当金などの給付で収入はある程度カバーされますが、独立後は休業するとその間の収入はゼロになってしまいます。また、将来受け取れる年金の額も会社員を続けた場合と比べるとダウンします。
これらを考えると、民間の保険での備えは会社員時代より厚めにするほうがベター。検討したい保険をみていきましょう。

病気やけがで働けなくなったときの備え

概要 基本的な給付条件 ポイント
医療保険 病気やけがの医療費をカバー ・入院
・手術
・様々な病気やけがに対応
・保険料はタイプによる
がん保険 がんの医療費をカバー ・がん診断
・がんでの入院・手術
・通院でのがん治療
・がん治療に寄り添った保障
・保険料は医療保険より割安
女性保険 女性特有の病気をカバー ・病気での入院、手術
・女性特有のトラブル時のプラスオン
・女性ならではの病気の保障が手厚い
・保険料は医療保険よりも割高
就業不能保険 病気やけがでの収入減をカバー 一定期間働けなくなったとき ・自分や家族の生活費などの補填に使える
・保険料はリーズナブル

病気やけがで働けなくなったときの医療費や生活費をカバーする保険です。すでに加入している方は、保障内容がこれからのライフスタイルにフィットしているか確認を。場合によっては、傷病手当金などのかわりとして就業不能保険を検討してもよさそうです。
入院、手術でかかるお金はどれくらい?

老後の備え

概要 基本的な給付条件 ポイント
個人年金保険 公的年金のように、決まった歳から一定額のお金が受け取れる保険 60、65歳など定めた年齢になったとき ・万が一の時遺族が年金を受け取れる商品も
・定額型・変動型から選択
貯蓄型保険 万が一のときの備えと貯蓄機能を併せ持った保険 ・満期時、または解約時
・万が一のことがあったとき
・万が一に備えながら貯蓄ができる
・短期解約は損する可能性も
介護保険 介護が必要になったときの費用をカバー ・継続介護が必要な状態になったとき
・一定の要介護認定を受けたとき
・公的介護制度では足りない部分をカバーできる
・給付条件は各商品による

公的年金が国民年金のみに切り替わると、厚生年金での上乗せ部分がなくなり将来的にもらえる年金額が下がります。老後に備え、いくつかの保険を組み合わせておけるとより安心かもしれません。
老後の備え、どれくらいあると安心?

万が一のときの備え

概要 基本的な給付条件 ポイント
死亡保険 万が一のとき、のこされた家族に保険金が一括で支払われる ・亡くなったとき
・所定の高度障害状態になったとき
・終身保険と定期保険があり、保険料や保障期間が異なる
・まとまった金額が受け取れる
収入保障保険 万が一のとき、のこされた家族に保険金が給与のように毎月支払われる ・亡くなったとき
・高度障害状態になったとき
・保険料は定期保険よりさらに割安
・受け取れる金額が年齢と共に減っていく
・一時金で受け取ることも可能(受け取れる金額は分割より少なくなる)

国民年金に切り替わると、万が一のときにのこされた家族が受け取れる年金も「遺族基礎年金」のみになります(※)。減ったぶんの死亡保障や、遺族のその後の生活費なども再考してみましょう。
※退職前(厚生年金保険の被保険者期間中)に初診日のある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡した場合は、退職後であっても遺族厚生年金が支給されます。また、老齢厚生年金の受給資格のある人が死亡した場合も、遺族厚生年金が支給されます。
死亡保険以外にもある?万が一の備え

独立・開業後、自由にいきいきと働きながらも自分や家族が安心して過ごせるよう、これからのお金のことや備え方を見直してみてはいかがでしょう。

<出典・参考>
・総務省統計局「平成29年就業構造基本調査 結果の概要

この記事を書いた人

LifeR編集部

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